いつもなら駅までの距離なんて徒歩5分、なんてことないのに、今日は違っていた。

母を訪ねて三千里か?!と思うくらい、重くて長い距離に感じられた。

やっとの思いで、待ち合わせのカフェにたどり着く。

やけに重たい扉を開けて中に入ると、目の前のテーブルにすでにタツヤは座っていた。

タツヤは私を見つけると、少し笑って手を上げた。

私は足を引きずりながらその席へ向かう。

すでに笑顔を作る余裕すらなかった。

そして、タツヤの前に座った瞬間、目の前がふらついた。

目眩??!


「ねーさん、大丈夫?顔色すごく悪いけど。」

だから、今日は疲れてる!って言ったじゃない!

心の中で叫ぶも、目の前にいるタツヤに叫ぶほどの力は残っていなかった。

無表情のまま、タツヤに尋ねた。

「それで、話って?」

タツヤは心配そうな顔で私を見つめたかと思うと、急に自分の手を私のおでこに当てた。

ふんわりと厚くて、そしてひんやりと冷たい手だった。

「これ、やばいよ。ねーさん、めちゃくちゃ熱い。とりあえず、家まで送るよ。」

な、何今更!

もうここまで来ちゃったんだから!