タツヤとは結構飲みに行ってしゃべってる割にそういうこと全く知らない。

趣味だけじゃなくて、あんまり個人的な話したことないよな。

くだらない、ふざけた話ばっかり。

ノボルにふられた後、初めて二人きりで飲みに言った時に、意外と女性に対して気が利くやつだったんだってわかったくらい。

でも、それは、今のナオにはいえないよね。

「趣味とか知らないな。もっぱら会社の愚痴とか、くだらない将来像とかの話ばっかしてるから。」

「会社の愚痴が言える相手って、よほど心を許してるんだろうね。男って、結構甘えん坊だから、自分の弱みを見せれる相手は選ぶもんなんだよ。」

そうなの・・・?

ナオはあまり弱みみせてくれてないけど。

「心を許してるっていうか、タツヤにとっちゃ私は『ねーさん』的な存在みたいで、ただ、それだけだと思うけど。ほんとに。」

私は軽く笑って流した。

「ねーさん的存在か。ま、それも口実だったりする場合もあるからね。」

どうやら、ナオはタツヤが私に対して何か特別な感情を持ってるんじゃないかと疑ってるらしい。

んな、わけないし。

少し面倒くさくなって、

「っていうか、ナオはあまり私にそういう甘えた言動はとらないよね?まだ心許してないのかな?」

と、逆につっこんでみた。

「ハルは、いつもうまく話を翻すね。でもそういうところが魅力的なんだけど。」

ナオはようやくいつもの笑顔をみせた。

「これから、どんどん出していくつもりだよ。ハルにはもっと僕のこと知ってもらいたいから。」


ドキン。

少し真顔で言われると、ドキドキする。

これから、ナオのどんなこと知っていくんだろ。

恋の始まりは、すべてが新鮮で緊張を伴う。