「でさ、ハルナの方の話って何よ。」

ぼんやりとワイングラスを眺めていた私に、アユミはふいに切り出した。

あ、そうだった。

そういう話をする予定だったっけ。

「あ、ああ。さて、どんな話でしょう?」

なんとなくすっとぼけてみたい衝動にかられた。

「えー、ハルナ、それはずるいよ!私がちゃんと告白したってのにぃ。」

アユミは笑いながら、私の肩を軽くたたいた。

「そうだよねー。アユミにはきちんと話さないとね。」

急に話すのが憂鬱になってる自分がいた。

なんでだろ。

「実はさ、今お付き合いしてる人がいるんだ。」

「ほんとに!?っていうか、何となくそんな気はしてたけどさぁ。え?一体相手は誰よ?」

「ううん、アユミのおかげで知り合った人。」

「・・・っていうことは、こないだのコンパ?」

「うん。」

「水口さん?!」

アユミは目を大きく見開いて叫んだ。

「ち、ちょっと、声でかいってば。」

私は思わずアユミの口をふさいだ。

「すごいじゃん、ハルナー。水口さんってあのメンバー中では一番の出世株だし、めちゃかっこいいじゃん!うわ、どうやって落としたのよー。」

アユミはかなり興奮気味にまくしたてた。