もしくは、アユミの気持ちをさぐるために、まず私を誘って話を聞きたかったとか?

でも、私が誘いにのってこなかったから、思い切って直接アユミを呼び出した?

さすがに当日告白するのは、勇気がいるから、まずはアユミに打診してるって感じ?


うん。

きっとそうだ、そうに違いない。

必死に自分に言い聞かせる。


「タツヤがアユミって、あり得るかもしれないわね。」

アユミは顔を上げて私を見た。

「本当?ハルナはそう感じる?」

アユミのその表情は恋をしていた。

本当にタツヤに恋しちゃったんだ。

「う、うん。なんとなくだけど。今までもアユミとタツヤって気が合ってたし、タツヤも彼女と別れて、そばにいるアユミの存在に気づいたってことはよくある話じゃない。」

「ある・・・かな?」

「そりゃ、100%とは、私も言い切れないけど、可能性はゼロではないよ。」

「そっか。じゃ、少しだけ期待してもいいのかな。」

期待しすぎると恋はうまくいかない。

私がこの長い年月で得た経験。

「期待はしすぎは禁物だよ。私はそれで、結構痛い目にあってるからさ。」

そう言いながら、ふとタツヤとタクシーの一件を思い出して顔が熱くなった。

「そうだね。ほどほどに期待しておくよ。また何かあったら相談させて。」

「いいよ。うまくいくよう祈ってる。」

アユミとタツヤか。

もしうまくいったら、素直に喜べるんだろうか。

いやいや、素直に喜べるでしょう。

私には結婚前提のナオがいるわけで、タツヤなんてどーってことない。

自分に言い聞かせながら、なんとなく複雑な思いでワイングラスを空けた。