恋って年齢を問わず、それだけで周りの空気が新鮮で明るく感じられる。

その空気に自分がふさわしくなるように、気づいたら笑うことが多くなった。

そして、服装も仕草も、知らず知らずのうちに明るくなっていった。

そういうのって、一番近しい人から気づくもの。


更衣室でアユミが声をかけてきた。

「最近やけに明るくなったんじゃない?なんかいいことでもあった?」

あ、アユミ。

結局、タツヤとはどうなんだろ?

相手のことを穏やかに考える余裕。

恋とはそういうことも与えてくれる。

「ううん、ちょっとね。」

照れくさくて、なんとなく言葉を濁した。

アユミはにやにやしながら私の腕をこずいた。

「なんか最近あやしいなぁ。予定がつまってること増えたみたいだしぃ。」

「私だって何かと忙しいのよ。」

笑いながら答えた。

「あのさ、私も久しぶりに話がしたいし、今度久しぶりに二人で食事でもいかない?」

少し真面目な顔つきで、アユミが言った。

あ、きっと例のタツヤがらみの話・・・ね。

私も、水口さんとの出会いのきっかけを作ってくれたアユミにはきちんと伝えておかないといけないし、ちょうどいいか。

「うん、オッケー。いつにする?」

「明日金曜だし、どう?」

「いいよ。じゃ、明日。場所は?」

「ちょっとおいしいイタリアンのお店見つけたから予約入れとくわ。」

相変わらず、何でもスピーディなアユミだ。

「んじゃ、よろしく!楽しみにしてるわ。」

久しぶりのアユミとの食事。

普通に楽しみだった。

そして、アユミの口からどんな報告があるのか、余裕がありながらもほんの少し緊張している自分がいた。