すぐにタツヤだってわかってはいたけど、白々しくわからないふりをする。

「え、どちらさま、でしょうか?」

「わかんないの?酔ってるでしょ?」

電話の向こうでタツヤが明るく笑った。

いつもなら、『なにふざけてんの!』ってどやしてるとこだけど、今はそういうたわいもない会話に癒される。

「酔ってませんけど。」

あえて気づかないふり。

「立花ですよ~。あなたが一番かわいがってる後輩の。」

「ばかじゃない。」

「本当はわかってたくせに。もったいぶってただけでしょ?」

タツヤに気づかれないように笑った。

そう、こんなに無礼な態度をとってるタツヤは、私の会社の後輩だった。

しかも、3歳も下だってのにこの態度。

どうかしてるよね。