水口さんは、空いたビールのグラスに目をやりながら、声を落として言った。

「あの、もし、僕が海外に行ったとして、その後も僕とつながっていただくことは可能ですか?」

・・・。

それは、どういうことでしょう?

一瞬言葉が出なくて、水口さんの顔を眺めながら首をかしげた。

「三ヶ月先に海外に行ってしまうような男ですが、よかったら、これからも僕とおつきあいしてやってもらえないでしょうか?」

そりゃ、もちろん。

お友達として、でしょ?

「・・・結婚を前提として。」

水口さんの顔が少しこわばったのがわかった。

初めて見せる緊張した顔だった。


なんだか、ものすごく客観的になっている自分がいる。

これは、私に言ってるんでしょうか?

そうだよね。

私のほかに、ここには誰もいないもの。

それか、これは私の夢?

水口さんにわからないように、自分の太ももをつねってみた。

痛い。


結婚前提・・・ですか?!