「明日、夕方早めに商談が終わる予定なんですが、よかったらお食事でもいかがですか?」

水口さんは何も言わない私に、静かに聞いてきた。

少し不安気な口調で。

「あ、はい。私でよければ。」

ドキドキしているのを悟られないように、ゆっくりと答えた。

「よかった。じゃ、駅前に19時半でも大丈夫ですか?」

「はい。」

なんだか頭がぼーっとしている。

思考回路がゼロ。

水口さんに言われるがまま、ロボットのように返事をし、待ち合わせ場所をメモって携帯を切った。


これは。

夢?

水口さんみたいなすてきな人と、お食事だなんて!

洗面所の鏡に自分の顔をうつした。

20代の頃にはなかった目尻のしわ。

あー、やだやだ。

目のリンパの流れをよくするマッサージをえんえんやり続けた。

明日、少しはましになってるといいな。