「遅れてすみません。ちょっと仕事が立て込んでしまって。」

その人は、すまなさそうに頭を下げた。

「日曜日もお仕事だったんですか?」

アユミが間髪入れずにたずねる。

「海外の顧客が数件あって、時差があるもんですから。」

ひょー。

海外の顧客と渡り合うんだ。

ミーハーながら、それだけでかっこいいと感じてしまう。

それは、その他女性陣も同じだったみたい。

全員がその男性に釘付けになった。

「全員そろったし、お店に向かいましょうか。」

若い男性の一人が言った。

私たちは男性陣の後ろからゆっくりとついていった。

アユミが私にこそこそと話してくる。

「最後に来た人、ハルナより2歳上だって。なんかかっこいいよね。」

やっぱり。

あの落ち着きは30代だ。

その男性は、水口ナオヤという名前だった。

背も高くて、身のこなしもスマートで、絶対もてるタイプだと思う。

年齢的には一番合うんだろうけど、私にはお手上げだわ。