30歳で、全てがふりだしってのも、なんだかなーって。

でも、これから先、本当に縁のある男性に出会える楽しみが増えたってことで。

自分自身、どうしてこんなにポジティブになれるのか不思議だった。

きっと完全燃焼できたからだね。


時計を見ると、そろそろ新幹線に乗らないといけない時間が迫っていた。

慌てて、エスカレーターを駆け上がる。

チケットをバッグから取り出して、自分の座席を確認した。

「結局一泊二日で帰りの新幹線か。」

そんな滑稽な自分に誰にも気付かれないように一人笑った。


新幹線に乗り込み、自分の座席に座った。

ふぅ。

落ち着く。

やっぱり帰りも通路側。

帰りの窓側はどんな人が座るのかなぁ。

意外とこういうのがご縁でハッピーエンドになることもあるかもよ。

って、どこまでポジティブなんだか。

買ってきた雑誌を広げた時、

「すみません。」

なんとなく聞き覚えのある声が頭上に響いた。

見上げると・・・

行きの新幹線で隣だった眼鏡の男性だった。

思わず、持っていた雑誌を床に落とす。

「すみません、いや、びっくりした。」

慌てて、雑誌を拾い上げて、その男性が通りやすいように通路に立った。