久しぶりに見るナオからの着信だった。

緊張と不安を抑えきれず、深呼吸をして携帯に出た。

急に電話だなんて、一体どうしたんだろ?

「は、はい。」

「久しぶり。その後元気?」

ナオは緊張していないんだろうか。

妙に冷静なナオの声に、いつしか私の心臓も平静を取り戻していった。

「うん、元気。ナオは?」

「なんとか、ね。」

ナオは少しだけ笑った。

「この間はごめんなさい。ナオを深く傷つけてしまったこと、ずっと気になっていたの。」

ナオは携帯の向こうで軽くため息をついた。

「ずっと気にしてくれてただけで、僕の気持ちは救われるよ。」

ナオはいつだって大人だった。

こういう時ですら、私を傷つけないように言葉を選んでくれる。

「僕の方こそ、あのときは頭に血がのぼっちゃって、冷たいこと言ってごめん。それだけきちんと謝っておきたくて。」

「それで、わざわざ電話くれたの?」

「うん。あともう一つ。明日、ニューヨークに発つよ。」


そっか・・・。

もうそういう時期だったんだね。


「準備は万端?」

「まぁね。正直気持ちは不安だらけだけど、行ったら行ったで何とかなるかな。」

うん。

ナオならきっと大丈夫。

どこでだって、しっかりやっていける人。