「ふぅ。」

ベッドにもたれて、一枚の紙切れをぼんやりと眺めていた。

その紙切れには、アユミが入手してくれたタツヤの実家の住所が書かれていた。

福岡か・・・。

一人で、行けるんだろうか?タツヤに会いに。

住所を見た瞬間、いきなり現実に引き戻されて、尻込みしている自分。

ミユにはあれだけはっきりと豪語していたのに情けない。

タツヤは今頃何してるんだろう。

もう仕事は見つかったんだろうか。

あれから、タツヤからのメールはなかった。

なんとなく、自分からメールを打つ勇気もなくて、いたずらに過ぎていく日々。

タツヤが辞めてからちょうど一ヶ月が経とうとしていた。


そのとき、突然携帯が鳴った。

ドキン。

だ、誰だろう。

そっと携帯を開いた。


「ナ・・・ォ?」