「結婚って、簡単に決めれそうで決めれないもの。絶対に。迷って悩んで、迷って悩んで、悩みまくって決断した人の方が幸せになってるような気がする。統計的に。」

「統計的に?って何かデータでもあるの?」

私は笑いながらお水を口に含んだ。

「ま、私の周辺から見る統計だけどね。」

ミユのおどけた顔に、吹き出した。

「相変わらずだねー。ミユは。」

そういう楽観的な、そして、前向きな思い込みは、間違いなくミユを幸せにしているような気がした。

私もそんな風にいつか笑えるかしら。


ミユは腕時計を見て慌てた顔をした。

「あ、断るなら早めの方がいいわよ。いくらなんでも間際じゃ失礼極まりないから。」

私は無言でうなずくと、席から立ち上がった。

「今から電話してくる。ちょっとだけ不安だから、ミユ、ここで待っててくれる?」

「うん、オッケー。後で思いっきり抱きしめてあげるから、勇気ふりしぼって正直な気持ちを伝えておいで。」

私は笑ってうなずいた。

そして、お店からゆっくりと外に出た。