買った後すぐに着替える。

着てきた服はコインロッカーに預けた。

「これでよし。きれいだよ、ハルナ。」

ミユは私の肩をポンとたたいた。

「ありがとう。助かったよ。」

ミユは私の方を見ずに言った。

「何か話あるんじゃない?まだ少し時間あるから、お茶でもしよっか。」

ミユは私の腕を掴んで、デパート内にあるおしゃれなカフェに入っていった。

迷いのないミユの言動。

いつもまねしたくてもまねできなかった。

彼女の歩く道は、常にまっすぐの一本道のような気がする。

曲がったり、うねったり、時々行き止まりで引き返したり。

そんな姿をあまり見たことがなかった。

私はいつだって、道に迷っているのに。

頼んだアイスティーがテーブルに運ばれてきた。

慌ただしい時間から解放されて、気持ちが安らいだ。

「今日はナオさんの御両親と会うんだね。ハルナの中では、もうナオさんに決まったんだ。」

「・・・。」

言葉の出ない私の方を首をかしげて見つめるミユ。

「なになに?まだ迷ってんの?」

私は軽くため息をついて、今の状況を簡単に説明した。

タツヤが仕事に失敗して、会社を辞めて福岡に戻ってしまったことも。

すべて聞き終えたミユは少し厳しい顔をして言った。

「だから?」