しばらく二人は何も言わずにただ座っていた。

背後の草むらから、涼やかな虫の音が聞こえている。

大通りからは、時折車のクラクションが響いていた。

静かすぎる夜。

こうも静かだと、かえって落ち着かない。

タツヤとのキスは、私にとって不自然なことではなかった。

むしろ、期待し、そうなるかもしれないって思ってた。

どうして、今の私の状態でそれが不自然じゃないのか?

タツヤが好き?


・・・好き。


ナオよりも好き?


・・・。


ナオと別れて、タツヤの胸に飛び込める?


・・・。


それでもまだ答えの出ない自分にいらいらする。


「ねーさん。」

タツヤが小さな声で言った。