さっき飲んだばかりなのに、私ののどは既に渇いていた。

何かで潤さないと、息が詰まってしまうくらいに。

そのとき、私の唇がタツヤの唇でふさがれた。

タツヤの唇はとても乾いていた。

優しく、何度もキスをされた。

嫌じゃなかった。

思わず、タツヤの背中を抱きしめる。

タツヤはそれに反応するかのように、私をさらに強く抱きしめた。

だめだ。

止まらない。

私は・・・?


タツヤとキスをしながら、ふいにナオの寂しそうな笑顔が頭をよぎった。

思わず、タツヤの唇から、自分の唇を離す。

タツヤは、抱きしめていた腕を緩めた。

「ごめん。」

謝らないで。

謝らなければならないのは、私の方なのに。

私は一体どうすればいいの?

本当に選ぶべき人は、ナオ?それともタツヤ?

優柔不断な自分が不甲斐なくて、目の奥が熱くなってきた。

だめ。

泣いちゃだめ。

ここが暗くてよかった。

なんとか涙を止めて、タツヤから顔を背けた。