「あそこに自販機あるから、何か酔い覚ましになるようなもん買ってこよっか?」

タツヤはようやく私の手をほどいて立ち上がった。

ホッとする自分と、少しがっかりする自分がいた。

「うん。」

「何系がいい?」

「炭酸系。」

「了解。」

タツヤはゆっくりと自販機へ歩いていった。

そして、二つのペットボトルを持って、戻ってきた。

「はい。ねーさんのサイダー。」

「ありがと。」

受け取ったサイダーのふたを開けて、のどの渇きを満たすまで飲んだ。

のどの奥が炭酸で痛い。

「ねーさん。」

飲み終わった私にタツヤが声をかけた。

「ん?」

タツヤの方に顔を向けた時、タツヤの大きな体が私を包んだ。

思わず手に持っていたサイダーを地面に落とす。

「結婚なんかすんなよ。」

私の耳元にタツヤの押し殺すような声が聞こえた。

胸がドキドキする。

タツヤの鼓動なのか、自分の鼓動なのかわからないくらに激しく。