タツヤはちらっと腕時計に目をやった。

「おっ。もうこんな時間じゃん。」

見ると、また終電間近だった。

「前と同じだね。終電ぎりぎり。」

タツヤは、深呼吸なのかため息なのかわからないような長い息をはいた。

「どうする?」

どうする?

男の人って、ナオもそうだったけど、どうして女性に最終決定をさせようとするのかしら。

しばらく、うっすらとコップの底に残っているマッコリを見つめながらだまっていた。

「もし、ねーさんが朝帰りオッケーなんだったら、朝までどっかで時間つぶす?」

タツヤは私の様子を伺いながら聞いてきた。

朝帰りか。

いつ以来だろう。

ノボルと付き合い始めた時、時々あったっけ。

母さんは、察しがいいからそういうことわかっていたけど、黙認してたよな。

いつもみたく、「朝までカラオケ」を使うか・・・。

「うん。いいよ、朝まで。」

私は携帯を出しながら答えた。

「まじで?!」

私の答えに意表をつかれたのか、タツヤは目を丸くした。

「ん。なんとなく、もう少しタツヤと話してたい気分だし。お酒も飲み直したいかな。」

タツヤは微妙な顔で笑った。

私は例の言い訳を書いて、母さんにメールを送った。