「本当の男女の相性って、関係を持たないとわからないって言うらしいし。」

タツヤは、視線を落として言った。

あ。

これって、タツヤから聞いた話だったんだ。

確か、学生時代にとってた心理学の教授が言ってたとかなんとか・・・だっけ。

・・・とか、思い出してる場合じゃない。

え~?!

タツヤ、それはあまりに唐突な提案ではない?!

思わずじっとタツヤの顔を凝視した。

タツヤは私をちらっと見て、くすりと笑う。

「ねーさんって、ほんと、いつもすぐに真に受けるから笑っちゃうよな。この前の時もそうだったけどさ。」

「へ?」

「いくらなんでもそんな提案、俺がするわけないっしょ?フィアンセいるねーさんに対して。俺もそこまで落ちてないよ。」

そう言いながら、少し寂しそうに笑った。

「そうなんだ。」

思わず口からこぼれる。

「な、なんだよ。ひょっとして、受ける気になってたなんて言うなよ、さっきの提案。」

タツヤは驚いた顔で私を見た。

短い時間に、私はそれもいいかも・・・って思ってた。

不謹慎だと頭ではわかっていながら、タツヤと一つになることに、それほど抵抗がなかった。

いざ・・・となった時、自分がどう感じて行動するかはわからないけれど。

ナオの時のように、そのまま体をゆだねられるのか。

それとも、拒絶してしまうのか。