「大きいマンションだね。一人暮らしなのに、ちょっと贅沢な感じ?」

思わず本音がこぼれた。

ナオは頭をかきながら苦笑する。

「そうだよね。一人暮らしにしては贅沢かも。ただ、一人暮らし用の間取りに住んでるから、2LDKの55平米なんだけどね。」

「なんだけどねって、十分じゃない!へー、やっぱり大手は違うのね。」

正直、感激していた。

うちの会社は中流企業だから、そこまで独身男性に贅沢はさせないと思うもの。

エレベーターに乗る。

7階建てのマンションだったけど、ナオの住む部屋は3階だった。

「さぁ、ついたよ。とりあえず、入って。」

ナオは玄関の扉を開けると、にっこりとほほえんだ。

玄関も想像以上に広くて、整然としていた。

無駄なものが何も置いてない感じ。

靴を脱いで用意されたスリッパを履く。

この気の効き方、絶対男じゃないよ。

まっすぐの廊下を抜けると、リビングがあった。

南向きだからか、日の光がまぶしい。

一人住まいには広すぎるリビング。

テレビとソファーと、オーディオ以外には何も置いていなかった。