翌日の日曜日。

私はナオと二人で喫茶店で落ち着いていた。

昨日のことがあったというのに、意外と冷静にナオと向き合ってる自分に少し驚いていた。

「昨日は学生時代からのお友達のうちに行ってたんだよね。久しぶりにゆっくり楽しめた?」

ナオは目を細めて優しく聞いてきた。

「うん。いつ会っても落ち着く友達なの。その友達の子供が今二歳になるんだけど、すんごくかわいくって。」

「ふぅん。ハルは子供が好き?」

「正直、どっちかって言うと苦手。でも、友達の子だけは心底かわいいって思えた。」

「そっか。」

ナオはゆっくりとコーヒーを飲んだ。

「ナオは子供は好き?」

「兄貴の甥っ子はかわいいと思うな。やっぱ血がつながってるからかな?そういう意味では、自分の子供なんて本当に格別なんだろうね。」

「そうかもしれないね。」

なんとなく。

こういう子供の話とか、ナオとはあんまり話したくなかった。

結婚を意識した会話になってしまうのが、今は辛い。

時計をちらっと見た。

午後2時半。

タツヤはそろそろ上海に向かった頃だろうか。

頭上で飛行機の飛ぶ音がかすかに聞こえていた。

「これからどうする?」

ナオがふいに聞いてきた。

そう。

今日は何も予定を立てずに会ってるんだよね。