タツヤはお酒を一口含んだ。

そしてゆっくりと喉の奥に流した。

私も、少し口を湿らせた。

ふいにタツヤが笑った。

「俺、ふられちゃいましたー!」

ふざけた口調だけど、目は笑ってなかった。

タツヤに長いこと付き合ってる彼女がいることは知ってたけど、

それ以上のことは知らなかった。

正直、今の自分の気持ちに精一杯で、タツヤの気持ちを思い計るとか、同情するとか、そういう気分にはなれない。

それが、思わず「ふぅん」という相槌になって口からこぼれた。

タツヤは、一瞬こちらに視線を向けた。

「冷たいな。」

私もハッとして、タツヤのほうを見た。

タツヤは苦笑しながら、出てきた付き出しに箸をつけていた。

「あ、ごめん。」

思わず誤る。

一応、私の方が先輩なわけで。

きっと慰めてほしいから、今日誘ってきたはずなのに、あんまりよね。