「・・・手術?」

私がそう呟いた瞬間

走馬灯のようにたくさんの俊輝の顔が浮かんだ

「・・・俊輝は・・・?」

私は無理に体を起こした

「俊輝君・・・は・・・」

お母さんとおねえちゃんは

哀しそうに顔を伏せた

「あのね・・・綾よく聞いてね・・・」

お母さんの言葉に私は耳を傾けた

「俊輝君・・・・・・死んだ」

頭に拳銃の弾が撃たれたように

激しい痛みにさらされた

「俊輝が・・・死んだ・・・?」

私は体中が恐ろしいほど震え

自然に涙が大量に溢れてきた

「な・・・なんで・・・
 ねぇ!何で!?」

私はお母さんに怒鳴りつけた

「あの日綾たちタクシー乗ってたでしょ?
 その時目の前に急に大型トラックが
 突っ込んできて
 右によけるためにいそいで曲がったんだけど
 間に合わなくて衝突しちゃったの・・・
 その衝突でタクシーは何回も転がって
 コンクリートの道路に突き出されたの
 その衝撃で俊輝君は・・・・・・」

私はお母さんの言葉が耳に入らなかった

わけわかんない・・・

俊輝死んじゃったの・・・?

そんなことあって死んじゃったの・・・?

嘘だよね、

事故にあったのも

俊輝が死んだのも全部嘘だよね・・・

「お・・・お母さん・・・嘘つかないでよ・・・」

お母さんは私の肩をしっかり掴んで

「嘘じゃないの・・・
 哀しいかもしれないけど
 俊輝君は最後の最後まで綾を守ってくれたのよ」