綾はただ呆然と男の腕の中に居た

男は急に口を開いた

「俊輝さん、彼女に振られたらしーじゃないすか?
 浮気したんでしょ~?
 まぢ残念っすね~アレ俺なのにな」

「ごめんなあ
 俺、俊輝さんのフリしててさ?
 名前借りて遊びまくってたんだよねえ
 彼女さんも何回か一緒寝たし」

え・・・?

頭をトンカチで殴られたのかと思った





――彼女サンモ何回カ一緒寝タシ――




その言葉は俺を極限まで苛立たせた

綾は俺の事情を知っている

綾は必死でかばっていた

「いいよ、綾」

そういうと綾を無理矢理引っ張りだし

俺は綾を抱きしめた

だけどすぐに綾を離し

俺は男をすごい勢いで殴った

俺は何度も何度も男を殴った

すると綾が泣きながら

止めに入ってきた

「綾・・・」

「もうやめてよ・・・
 殴るなんて俊輝らしくないよお・・・」

綾のその必死な顔は俺の心を揺らした