「ごちそうさまでした。すごく美味しかったです」


少し早めの夕食を終え店を出た。

妃奈の自宅から車で一時間程かかる、海沿いのレストラン。隠れた名店らしく、ひっそりとした佇まいだ。


「それにこんなに綺麗な夕焼け空が見えました。ありがとうございます」


妃奈はくるりと振り返り、微笑んだ。

何故だかひどく儚げに見えた。水平線に夕陽が沈んでいくように、隼人の前から淡く、消えてしまうかのように。


・・・・・思わず、妃奈を抱き寄せた。


――こんな筈では無かった。もっと淡白に付き合うはずだった。こんなにも・・・―――