この日俺は、凛城の屋敷に足を踏み入れた。
遠くからでも分かった。
屋敷が広すぎて。
こんな家…あんだな…
俺は屋敷に踏み入れた足を少し緊張しながらも進めて、言われた通り、凛城の奥様のところへ向かった。
名前は確か、樹里様。
凛城 樹里 か…
金持ちそうな名前だな…
まぁどーでもいいけど。
軽くノックをした。
「どーぞー♪」
中からは透き通るような綺麗な声が聞こえた。
「失礼致します。」
「アナタは…高野クン?それとも…矢野クンかしら?」
「高野 支葵と申します。」
「支葵クンねッ♪
今日から娘をヨロシクねー♪」
「はい。」
想像と違いすぎんぞ…?
金持ちの家の奥様のくせに…
超テンション高ぇし…
全然清楚じゃねぇ!
無駄にキラキラしすぎだろ?
ってか…矢野って誰だよ…
そんなことを思っていると、ノック音が聞こえた。
樹里様が返事をすると、俺と同い年くらいの黒い髪をした男が入ってきた。