――ふと、頭を撫でられた感覚がした。


 もしやと思い振り返るが、誰も居ない。

 でも相変わらず頭を撫でられているようだ。

「あきっ、秋人君なのっ?」

 頭の中に直接声が響いてくる。

「優香……自分を責めないで……お願い。逢えて、良かった。また――」

 そこで、言葉が途切れてしまった。

 もう何も聞こえない。



 ――聞こえるのは、自分の泣き声だけだ。