美沙が部屋を開けると、ふわっと線香の香りが鼻をくすぐる。

 それに、ひんやりしたものが肌にまとわりついてくる。

「寒い……」

「涼しくしてあるからね」

 中に入ると、簡単な祭壇にろうそくと線香が置かれていた。

 そして……ストレッチャーが一つあり、白い布がかぶさっている。


 美沙を見ると、頷いている。

「部屋の外で待ってようか?」

「……お願いします」

 気を利かせてくれた美沙に、心から感謝した。

 部屋の扉が閉められた時、急に心細くなってきてしまった。