優香は、ふと秋人が言っていた言葉を思い出した。


「愛情とかから生まれた者。助けに来られないかもしれない」


 秋人は明らかに何か知っているのに、優香に隠そうとしている。

 なぜそこまでして拒むのか、それは何のためなのかまるで理解出来ない。

「うっ!!」

 さっきよりも一段と痛みが増す。

 もう、見える範囲まで黒い物体が来ているのだろう。


 ――みたくなかった。

 目を閉じて、時間が過ぎるのを待ちたかった。


 だが、優香の中の何かが――好奇心かもしれないが――目を閉じさせない。