夕方の音楽室はオレンジ色に染まっていた。音楽部の理華が一人、ピアノの練習をしている。

カラカラカラ…

扉が開き、部活を終えた光が入ってきた。その瞳は静かに、一直線に理華を見ていた。

光「田村の事…どうした?」

理華「え、まだ返事してないけど…」

♪バーン♪
光は片手で鍵盤を打ちつけ、もう片方の腕は理華を抱き締めていた。

あまりに急なことで理華はビックリしている。

光「もうダメだ。もう…これ以上自分の気持ち、隠せないよ。」

理華「ど、どうしたの?光??」

光「…好きだった。ずっと、こうしたかった…ずっと。」

理華「えっ…」

光「理華が他の人と付き合うなんて、あたし耐えられないよ…」

その時、夕日に反射した1粒の涙が、光の目から落ちたことに理華は気づかなかった。