発表の時間になり、玄関に行く。
小さなA4サイズに、4ケタの数字が書いてある。



1201



落ちた。数字を確認する前に勝手に涙が出た。
でも手元にある数字は「1201」だった。
ミサは嬉しさのあまりボロボロと涙が止まらなかった。


もうあの学校へ行かなくていい。
もう学校休まないで行ける。
家族に安心させれる。
愛莉と学校へ行ける。
夢の、理想としてた高校生活が待っている。

ミサは玄関を出て座り込んで、携帯を取り出し、自宅に電話した。


「はい、もしもし」

「もしもし…っ、受かった…受かったよ……ありえないよね…っ!」

「え!?受かったの!?」


電話の相手はおばあちゃんだった。
合否を伝えると、お母さんに代わってくれた。


「もしもし、みぃちゃん?受かったの?……そっかぁ」

「私、受からないって思ってっ……だから凄い嬉しくて…!」

「よかったよかった……ママ安心したよ…」


お母さんも泣いてるみたいだった。たくさん心配かけてたんだって実感した。
家族、それから愛莉、バンドメンバーなどに合格の由を伝え、電話を切ったミサは校舎を見上げた。


「これで…よかったよね……」


安堵のため息をつきながら、力が抜けてつぶやくように言い放った。
まるで戦いを終えた戦士のような達成感があった。

しかし実際はミサにとって、これからが戦いのようなものだった。
この夏休みが明けた9月1日から始まる次の高校生活は成功させなきゃいけない。
甘い事言ってる余裕はない。周りのためにも自分のためにも頑張らなきゃいけない。
ミサはそう自分に言い聞かせた――――。