高校1年生。入学したて。

中学生チックな人間性がまだまだ抜けそうにない。
髪も茶髪に染めたて。
バッサリ切った肩まで揃うボブ髪も、まだなじまずに浮いている。

制服だって、まだ制服に着せられてるようでぎこちない。
校舎の中も把握しきれていない。

そんな新鮮な状態。

でも、友達作りに心配はなかった。
なぜなら、友達が欲しいなんて、みんながそれぞれが思っていることだから。
だから友達もすんなり出来た。

小学時代は両親の離婚や家の事情で、いくつも学校を転々としていた。
中学時代にいたっては、中学生活終わりのあたりで部活の部長だったミサと
同級生のSという子を中心に部員同士で対立が起こり、ミサは部活もやめた。

Sが親友だったミサは学校も楽しくなくなり、中学生活後半は失敗していた。

だからこそ、高校生活だけはずっと失敗したくなかった。
今まで言われてきた自分の治さなきゃいけないところを見直さなきゃいけない。

でも、すぐにはわからなかった。それに、わかっても簡単に治るものじゃない。
でも治さなきゃ、きっと前へは進めないんじゃないかなって思った。

明るく、うるさい、常にみんなを楽しませる少々面倒なキャラクターはクラスに1人くらいいるだろう。
それがミサの本当に根っから素の性格だった。

小学校、中学校でこの性格で愛されていた。
でもこの素の性格が今までの一部の生活に問題を起こしているなら、見直さなきゃいけない。

中学校の終わりに学習したんだ。
もう裏切られたくない。だったら自分も裏切らない。

校舎も覚えてきて、同クラスはもちろん他クラスの生徒とも仲良く出来てきている。
授業も楽しい。部活も楽しい。先生も友達も楽しい。先輩も優しい。
放課後は毎日のように男女で遊びに行って、帰るのは遅い時間。
帰っては遅いと怒られ、寝るのが遅くなり、起きるのも寝坊に等しい。
急いで支度して、一緒に行くようになった友達と学校へ行って…。

まさに望んでいた、理想としてた高校生活そのものだった。
正直今までの素の性格ではないけれど、それでも全然楽しかった。


ミサの、一生で一度の高校生活の時計の針は、何事もなく進む予定だった。