「大丈夫か?…急にあんな事して…悪かった」

座り込みながら木下さんを見上げて首を横に振る。

「いえ…。ありがとうございました」

「思ったよりあっさり引き下がってくれて助かったよ。あんまり突っ込まれたらボロが出るからな」

私を立たせながら照れた顔を見せる木下さんにドキドキする…。

遠藤さんとはキスさえしてなかったんだもの。
木下さんとのキスシーンを見たら信じちゃうよね…。

「いつも木下さんには迷惑ばかりかけて…」

木下さんは手のひらで私の唇を抑えた。

「また謝るつもりか?」


だって……。

自分の情けなさに涙腺が弛む。

「迷惑なんて思ってないから…泣くな」

涙を指で拭った後、木下さんは私を抱きしめ、私も木下さんの背中に腕を回した。

どうして木下さんの腕はこんなに安心するんだろう。

ずっとこうしてたい。
木下さんの傍にいたい…。

「高野…」

心地よさに目を閉じていた私は木下さんに呼ばれて慌てて離れた。