何だこりゃ…。

そういや、高野は着のみ着のまま携帯だけを持っていた。

高野が部屋を出た後、ここに残っていたのは……当然、遠藤とかいうカレシだろう。

俺は高野を外に残し、部屋を見て回った。

誰かいるような気配はないし、実際誰もいなかった。

高野がこの部屋を見て卒倒しなきゃいいけど…。

心配したが高野に言わない訳にはいかない。

玄関のドアを開くと高野を呼ぶ。

「中には誰もいない。ただ…ちょっと散らかってる」

『ちょっと』ってのはずいぶん控え目な表現だったけど知ってるのと知らないのではショックが違うと思う。

怪訝な顔の高野は俺と入れ替わるように室内に足を踏み入れる。

思わず叫びそうになった口を両手で抑えた高野は俺をゆっくりと振り返った。

「これ…は…?」

「高野の方が心当たりあるんだろ?そうでなきゃ空き巣だ。どうする?警察呼ぶか?」

俺の言葉に高野は首を横に振った。

「…とりあえず…片付けてみます…」

どう見ても高野一人じゃ時間がかかるだろう。

「…手伝うよ。高野が嫌じゃなければだけど」