「可愛いね?“紗紀”」



『なまえ……』




私が金魚みたいに口をパクパクさせていると穂田くんは少し意地悪な表情で、こう言った。



“俺のことも晴希って呼んで”





その瞬間、教室の窓から温かい風が吹いて桜の花びらが机の上に乗った。




「呼んでみて?」



『……はるき』