私は憂鬱な顔で部活に挑んだ。はあ…てか誰もいないじゃん。

「誰をそんな探してるんすか、未来先輩」

「シンジ」

橘シンジ。黒髪で毛先が跳ねてるのがかわいらしい。よく私と1on1をする仲。ちなみに、後輩。

「あんたを探してたの!また1on1して下さいって言われるもん!疲れるもん」

「まぁまぁ、女バス新キャプテンですよ?したいに決まってるじゃないっすか」

………え?


「聞いてなかったんすか?『女バスキャプテン』とやりたいんです♪」

…私が…キャプテン…?

「おめでとうございます」
そっか、私フラフラで医務室に行ったから…

どうしよ…うれしくて涙が……

「はいはい、泣かないの」

私は私より背の高いシンジの胸で泣いた。誰もいない体育館。私とシンジは二人で笑っていた。