「とりあえず寝なよ。保護者争いはまた今度…」

…ほらね。寝ちゃったよ。結局あたしがナオの面倒を見るんだから!昔っからナオはすぐに寝ちゃうくせがあんの、知ってるんだからさ。

「…おやすみ、ナオ」

私はナオに上着をかけて、寝た。




目を覚ますと、もうナオはいなかった。彼の字であたしの手のひらに、何か書いてあった。

『やっぱり最後に面倒見るのは僕だね。寝相悪すぎ!』

寝…相…?まさかナオに乗っかったとか!?



『そのまさかだよ』

「すいませんでした」

私は帰り道、ナオに電話した。ナオは呆れた声だった。

『未来の寝相の悪さには慣れてるからね。女の子なんだから、もっと気使って寝ないと、彼氏に嫌われるよ』

「逆にナオが女の子みたい。背低いし、お洒落だし!」

ナオは電話越しに笑った。
『未来の彼氏は、僕よりしっかりした人じゃないとね』

「え?」

『何にもない。学校来んの?』

「行くよ。」

『じゃあまた学校で』

ナオはそう言い、電話を切った。プープーという音はどこか寂しげだった。