「……ごめんなさいねぇナオ君、この子ったら」


…お母さんの声…ナオ…

「いえ。僕の家の前で良かった。未来、バスケの試合で頭打ったじゃないっすか。あれで倒れたらしいです」

私は目を開けて、起き上がった。

「未来!」

ナオが気付き、私のほうに寄り添った。

「大丈夫?」

「大丈夫…お母さんは」

「テレビ電話で話してた。お母さん、ダイチが高熱あるから来れないって」

ダイチは、私の弟。まだ小学生1年だから、一人にできないんだ。

「…ありがとね、ナオ。ずっといてくれたんでしょ?」

「おかげさまで眠たいよ、未来。未来も寝なよ、もう4時だからね」

よ……4時!?

「ナオ…学校は?」

「休むよ。それか遅刻する。だって昔っから、僕は未来の保護者だからね」

「…ナオも、偉そうになったもんだね。私がナオの保護者になってるくらいなのに」

ナオは立ち上がり、伸びをした。彼のピンクの派手なパーカーが目立つ。彼はお洒落だから。どんな色も似合うんだ。