「やっぱりぃー!」

びしっとポーズを決める零さん。

「今のー!」

お父さんの手から鉛筆が落ちる。

「なーし!」

零さんの手には元通りのあずきバー。

「ほ、ほら唯ちゃん。これで元通りなのだ」

満面の笑みでそれをあたしに渡そうとする。

あたしとお父さんは思わずずっこけちゃうわけで…

でも。

やっぱり零さんはすごいなぁー。

「ありがとう。でも零さん食べていいよ」

あたしが『食べ』と言った瞬間には、もう元通りのあずきバーは再び零さんの口にすっぽりおさまった。

「にゃははー!ありがとうなのだ唯ちゃん!」

もう零さんったら!

でもあたしのために気を使って元通りにしてくれたんだよね。

優しいな…零さん…。