ちょっと時間かかっちゃったけど、どうにかこうにかカレーはできあがったのでした。

「いただきまーす!」

なんかうちの食卓の中に零さんがいるって変すぎておもしろい。

「姉ちゃん…このカレーじゃがいもしか入ってないよ…」

「どういうことだね一堂くん…」

お構いなしにカレーをがっつく零さんは、それをぴたりと止め、静かにスプーンを下ろした。

「お母様が食べやすいように他の具材をみじん切りにしたのです」

キリリと決め、またカレーを食べる零さん…。

そんな…そこまで考えてくれてたのね…。

「一堂くん…これでは離乳食だよ…残念ながら…」

「まあ、いいじゃないのあなた。今日はありがとう一堂くん。とてもおいしいわ」

お母さん…。

「は、はははー。そう言っていただけるとわたしも恩返しした甲斐があったというものです!」

その時。

零さんはとってもとってもいい笑顔をしていて。

まるでお母さんに頭をなでなでしてもらっているときの、子供のような何とも言えない幸せそうな笑顔だったのです。