「あぁ…だめよ零さん…これじゃあ、もう作れないわ…」

「だ、大丈夫だもん!零ちゃん大丈夫だもん!カレー作るんだもん!」

「わ、わかりましたー!でもあたしもお手伝いしますからねー!」

これで今度はやけどなんてしちゃったら大変だもの。

「ねぇ、零さん。カレーといえば春曲くんちのこと思い出すね!」

春曲くんちはご両親が共働きだから、零さんがご飯を作ってあげたいって言い出したんだよね。火事にガス爆発に大惨事になっちゃったけど…。

「ん?あ、あぁ。あのーあれだ。カレー作ったつもりがビシソワーズになっちゃったあれだな」

「違いますぅー!」

忘れちゃうなんて…でも零さんらしいかなっ。

零さんはきっと…。

寂しいのかなって時々思っちゃうことがあって。

お母さんがいない辛さってないわけないもの。

だから春曲くんの寂しさもわかっちゃって…。

もしかしたらあたしの寂しさもばれちゃったのかな。