そして始まった二人でのじゃがいもの皮向き。

「ふむふむ…そうやるのだな…」

あたしの見よう見真似で零さんがじゃがいもにあてた包丁を動かした瞬間!

「のわぁーっ!」

「あっ!だめっ!」

口に広がる零さんの血の味。

包丁でぶっつり切れた零さんの親指が口の中でどくんどくんと脈をうちながら血を流している。

あ、あわわわっ。

あたし…。

やっちゃった…。

「ご、ごめんなさいっ!あたし、絆創膏持ってきます!」

どうしよう…どうしようどうしよう…。

あたし…なんてことしちゃったんだろ…。

だって。

零さんの。

親指を。

零さんの親指を。

あ、あぁ、あわわわわ!

口に広がるあの感触と血の匂い。

あっ!

早く絆創膏持って行かなきゃ!