涙を見られないように
下を向いて廊下を走っていた。

｢痛。って市原?｣

その声にハッとして
顔をあげた。

｢ごめん。剛志か‥
ほんとにごめん。｣

｢俺は全然平気だけど
お前は平気じゃないな。
泣いてるし。｣

｢えっ?　泣いてないよ!
気にしないで。じゃあね。｣

突然ぶつかった相手は
剛志だった。

小学校が一緒で用があったら
話す程度の剛志。

そして優の彼氏・・

泣き顔見られるなんて最悪。

そんな事を思いながら
トイレに篭り1人泣いていた。

｢なつ?　大丈夫??
何があったのか知らないけど
話聞くよ?｣

そう声をかけてくれたのは
親友の美奈。

お互い何でも話せて
笑い合える友達。

｢美奈…　私死にたい。｣

｢なつ!　何言ってんの!
とにかく屋上行って話そ。｣

｢うん。｣

そう言ってトイレから出て
美奈に支えられながら
屋上へ向かった。