繁華街は風俗店で溢れ返っている。そこで働く女の大半が行き場のない孤児だった奴ばっか。男は殺し屋になって、女は体売るのか。全くろくな生き方のできない場所だ。いつか自分の殺した奴の子供に殺されるかもしれない。いつか自分の殺した奴の子供を抱くかもしれない。そう思うとなんかどっちも気分が悪い。負の連鎖ってやつだ。そもそも自分だってそうなんだから。


店で
路地裏で
トイレで
シャワールームで
更衣室で。
何処でもいいんだよ。
好き勝ってにできればよ……………。


━━━━━……


「…………………ッッ!」
「最低………」


頭上からコップ一杯の水が降った。


「テメェッ!何すんだよ!?」
「最低。いっつも上の空で空返事ばっか!あたしはあんたの何!?ただの欲求不満を晴らす道具?もう……、わかんないよ」
「おい待てよ!なんだよいきなり!?」
「…………人殺し…」
「…………………!?なんでそれを……」


17歳の時だった。なんか色々めんどくさくなって特定の女に絞ってみた事があった。けど、やっぱりそんなのは性に合わなくてな……。デート?なんだそれは?2人で会って、飯食って、 それがなんなんだ?何が楽しい?話すことなんてあるか?こっちはたいしたネタなんて持ってねぇよ。人殺し?なんで知ってるかわかんねぇけど、テメェで選んだ男だろ?


「おい!待てって!」

女を追いかけた。俺が人殺しだってバレたからにはこいつも抹消しなくてはいけない。すばしっこい女だった。なんとかとっ捕まえて……。

「嫌だ!離して………人殺し……」
「へぇ……。自分で人殺しの男選んだくせに。今更後悔してんのか?」
「………………ッッ!」
「逃げたいなら逃げてもいいんだぞ?」
「い………嫌………。助けて…………」
「じゃあ………最後に一発ヤらせろよ!それで許してやるから………」

そんなんで許すわけがない。
それは『殺る』違いだからな。

「……嫌だ……。誰か………助けて」


助けを求める女の声は誰にも届く事はなかった。この女の中では最初から最後まで俺は『人殺し』だったんだろう。音もなく、声もなく女は姿を消した。綺麗な女だった。醜い姿は似合わないからな。何も残らないように殺った。せめてもの愛情だ。