ここへ来る時は何故かいつも同じ季節。まるで導かれてる様に。


「桜……………」
「月影島の桜だ。見た事あるか?」
「うん。あたしが住んでた山に毎年咲いてた。綺麗………。ここには太陽の光が届かないのになんでちゃんと咲くんだろう?」
「わからない。けど、咲いてる時期はネオンなんてなくたってここは明るい」
「きっと昔、月影島でたくさん光を集めてきたんだね………」
「かもな。……………………イセルナ?」


イセルナが涙を流した。 こいつの泣くところを見るのはこれが初めてだった。遠い故郷を思い出したのか?それとも…………


「……神楽……。強く生きなさい。あなたは生きなきゃいけない。一族の分まで…………。………大丈夫。もう心配いらないから。安心して……」
「おい……………。何言ってんだよ……?おかしくなったか?」
「あんたが頑張ってる姿、みんなちゃんと見ててくれてるよ………」
「は?」
「なんでもない!」
「………………………」
「また…、ここに連れてきてくれる?」
「………あぁ」


イセルナはおかしな事を言ったが、それはきっとうちの誰かからのメッセージなのかもしれない。

その後、またこの場所へ来る約束は果たされる事はなかった。