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「結局今も何もわからないままだ。一体何が原因であぁなったか。でも実行犯はたぶんボスだろう。それくらいの目処は立っている。世間が何もつっこまなかったのもあれは抹消されたとかではなくただの火災だと言われてるからだ」
「………これからも……、続けるの?」
「そのつもりだ」
「なんであたしに素性明かしたの?」
「……ダメか?」
「バカな人………。………辛かったでしょ?」
「そうだな………。でもまぁ、今はそうでもない。慣れたしな」
「嘘言わなくてもいいよ。泣いてるくせに」
「…………?」


そんな風に見えるか?俺は泣いてない。あの日以来泣いた事なんて………。


座る俺にイセルナは近付いてきてそっと抱き締めてきた。


「そろそろちゃんと泣いたっていいんじゃない?心の中ではちゃんと悲しかったでしょ?泣いてたでしょ?あんたは自分で思ってる程強くなんかないんだから。……もう泣いてもいいと思う」
「ありがとう。でも大丈夫…………」


大丈夫じゃなかった。12年越しで涙を流す事が許された気がした。こんなのガラじゃねぇけど。そうだな……。自分が思ってる程強くないのは事実だろう。イセルナは俺の普段晒さない部分を写し出す鏡の様に感じた。


「なぁ………」
「ん?」
「ちょっと連れてきたい所があるんだけど………」
「連れてきたい所?」
「来てくれるか?」
「いいよ………」


傀楼殿の跡地へ………。