声の主は保健室の中らしい


入るに入れずドアの前で立ちすくむオレ

聞こうとしなくても会話が聞こえてきてしまった



「先生…どうしたらいいの?陵也のことまだスキなのに…」


「佐藤さん…泣かないで…?」


陵也?

佐藤さん?


どこかで聞いたような…



「まだあきらめられないよ。なんで今さら南のこと…」


………南?



「え?た、田崎先生?」


気づけばオレはノックもせずに保健室のドアを開けていた


泣いていたのは…


佐藤 美佳


「やだ…先生どうかしましたか?」


保健室の石原先生は佐藤を隠すように、オレに笑顔を向けた


落ち着けオレ…


ただの聞き間違いかもしれないだろ…



「佐藤…だったか?どうしたんだ?」


「なにもないです。愚痴聞いてもらっただけで…」


「…オレが聞いちゃいけないかな?」



オレの問い掛けに佐藤は目を丸くした


当たり前か…


オレ完璧部外者だし



「あ…あの。田崎先生…今このこ…」


「先生…聞いてください」



石原先生の言葉より先に


佐藤はオレを見ながらハッキリと言った