夜に行って…
イルミネーションも見ないで…
2人で何するの?
「そこで、南は晩御飯を作るの!」
「え?!」
な、なぜに!?
「先生言ってたでしょ?食べたことないって」
「そりゃ言ってたけど…。だからってわざわざ…」
私があゆみに言葉を返す前に、目の前に現れた大きな手
「こら~~!授業中に何やってんだ?ちゃんとノートとれよ!」
私の頭に優しく手を置き、ニヤリと笑う先生
先生は私の料理なんて食べたいの?
「大事な話なんですよ。田崎先生!」
あゆみはプクッと頬を膨らまし、先生を見上げた
最近切ったセミロングの髪がさらりと揺れた
「ほ~?授業より大事な話か~?そりゃ気になるなぁ~?」
「んふ~♪どうせすぐにわかりますよ♪」
明らかに怪しい!
てか、あゆみの言葉に先生もニヤケすぎ!!
「はは~ん。そりゃ楽しみだな。まあ、授業はちゃんと聞けよ!」
そう言うと、先生は私達の机から離れて行った
てか私
得意料理とかないし、全然上手くない
それに先生が何が好きとか知らないし
クリスマスって言えばチキンとか、ケーキとか?
ならお店で買えば…
「南が作りなよ♪」
あああゆみの目が笑ってないーーー!!
仕方ないか
せっかくのクリスマス
少しは女の子らしく頑張ってみようかな
先生と…
ん~…
まだ若干不安はあるけど(笑)
その日の帰り道
クリスマスのために本屋さんで料理本を眺めていた私
ふと、大切なことを思い出した
プレゼント…
『誕生日はあげられなかったしなあ~。ちゃんとあげたい』
でも何がいい?
先生ってほんと謎が多いんだよね
もう1年近く付き合ってるハズなのに
いまいち掴めない先生の性格
まあ変態なのは知ってるけど
『無難にネクタイとか?』
でも好みとかあるよね…
ん~?
このままじゃまたプレゼントなし?!
とりあえず私は近くのデパートへと足を運んだ
赤と緑で彩られた店内には陽気なクリスマスソングが控えめに流れていた
紳士服コーナーに来てみたものの、一体何がどうなのかさっぱり
てか、女子高生がこんなとこ1人でいていいものなのか?
なんだか恥ずかしくなってきた私はぐるっと店内を見回し、そのまま出ようとした
その時、目に入った水色のモノ
「あ、マフラー?」
毛糸で編まれた綺麗な水色のマフラー
はしには白い毛糸でアクセントがついていて、仕事でも普段でも使えそうなデザインだった
『先生似合いそうだなぁ…。先生がマフラーしてるとことか見たことないし…。コレでいっか!』
値段も予算内だったのでそのままレジに並んだ
「包装はどういたしますか?」
「ぷ、プレゼント用でお願いします!」
ジングルベ~ル
ジングルベ~ル♪
ついに来ました24日!!!
この日までオレは様々なプランを立てた
何のかって?
もちろん…
「あ~!田崎くん!メリークリスマス♪」
はい!!!
メリークリスマスのためです!!!!!
彼女のためにこんなにも動いたことなんてあっただろうか
前は適当にイルミネーションを見に行ったり、遊園地行ったりと彼女が楽しんでるのを見てた記憶しかない
がしかし
今回は違う
たぶん1番楽しみにしてるのはオレ
てか楽しんじゃってる
南だからこんなハイテンションになっちゃうんだな~
まじオレ幸せ
そういやうかれすぎてつ南に今日のこと伝えてなかったんだよなあ…
いけね
オレは生物準備室からスキップしながら廊下にでた
その視線の先には
「あれ?み…吉岡?」
愛しい愛しい
彼女の姿
「あ…。先生…話があるんだけど、いいかな?」
お?
南からの話ってなんだ?
はっは~ん
南もオレに会いたくて待ってらんなかったわけかぁ~
可愛いヤツ
オレは周りを確認し、南を準備室へと入れた
ふわりと甘い香りが鼻をかすめる
南の香り
こいつ…
オレをこんなことでトキめかせてどうするつもりだよ
「んで?話って?」
大人の余裕を見せるも、さっそくオレの手は無意識に南の髪に伸びる
サラサラの黒髪
久々な感触
「あ…その。き、今日クリスマスじゃん?」
きたきた
思わずニヤケる変態なオレ
「うん。で?」
「その…夜になったら先生のお家行っていいかな?」
……ん?