「はい、とっても不思議な夢です」
福井先生は閉まるのボタンを押して、それから私を見た
「僕は犬を飼ってるんですが、その犬がでてきて…」
「…犬?」
…それは先生が言ってたはなこちゃんのことかな
「それで僕はいつものようにベッドに抱き寄せるんですがなんかいつもと違うんです」
私はなるべく普通な態度をしていたけど、福井先生の言葉にいちいち反応しっぱなしだった
「毛並みがこう…さらっさらで、つやつやで…。僕の犬はなこって言うんですが、はなこはお風呂が苦手なんで、さらさらなんてありえなくて…」
「は…はぁ」
「しかも匂いもいつものシャンプーの香りじゃなくて…」
…た、堪えらんないっ
きっと福井先生は寝ぼけまなこの中で、夢と現実を行ったりきたりしていたのだろう
…しかもその犬が実は私ですなんて
口が裂けても言えないよ
「なんだか僕の願望が夢になった感じでしたね。現実のはなこもあれだけ素直な子になってくれれば嬉しいのですが…」
「は…ははは…」
…もう笑うしかなかった