私は少し前の背中に向かって名前を呼んだ
普段は呼ばない…下の名前で…
「…南?」
「待って…置いてかないで」
先生が私を置いていくわけないのに、何を不安になってるんだろう
「私…上手く言えないけど…せ、秀也が私のために考えてくれて…う、嬉しいんだよ…?」
目を見てなんて話せないけど、上手く喋れないけど
素直になるって難しい
「ほ、本当は…私も…一緒に回りたいって…思ってた」
「…え?」
「でも、秀也は先生だし、一緒にいれないのわかってたから…言わなかった」
そうなんだ
実は…本心は…
昨日の夜だって先生に会いたかった
でも、部屋の子もいたし、先生も忙しいだろうから言えなかった
「…ちゃんと、言えなくてごめんなさい。でも、これは本心だから…」
私は恥ずかしくて先生の顔が見れなかった
「…南」
「はい…」
「…ありがとう」